イギリスが発祥とされるパンは日本においても日常でよく見かけるものがあり、日本人にとっても親しみが強いものが多くあります。
代表的なものとしては食パンの上部をふっくらと膨らませて焼き上げるイギリスパンがあり、こちらはイギリスではホワイトブレッド、ホワイトリーフと呼ばれているようです。また、このパンは白パンではなく、全粒粉で作る場合はそれぞれ、ブラウンブレッド、ブラウンリーフと呼ぶのが一般的という事です。
その他の有名なイギリスのパンとしては、スコーンやイングリッシュマフィンなどがあげられ、この二つのパンもカフェやファーストフード店などでお馴染みのメニューである為、知らない人があまりいないのではないかと考えられるほど、知名度が高いものです。
このようによく知られたパンがある反面、その他のパンはあまり知られておらず、イギリス本国においてもそれほどパンの種類が充実している訳ではないようです。
こういった特定の種にこだわりがあるのがイギリス人の国民性をあらわしていると言えるかもしれません。
イギリスパン
イギリスパンは日本で販売されている食パンのオリジナルだと言われているパンで、本場イギリスではホワイトブレッド(White Bread)またはホワイトローフと呼ばれています。また、イギリスパンは型に入れて焼くパンですが、角食パンのように蓋をしないので、上部がふっくらと山形になっている事も大きな特徴です。
イギリスパンは日本で作られている食パンと比べるとキメが粗く、バターや砂糖をあまり加えない為、あっさりとした味わいとなっています。イギリスでは大体、8枚程にカットしてからトーストし、カリカリになった状態でバターなどをぬって食べるのがポピュラーな食べ方です。また、イギリスパンはイギリス国内では「ティンブレッド」と呼ばれる事もあり、これは「ティン」という型を使って焼く事から、そう呼ばれるようになったそうです。
日本の食パン同様にイギリスパンも様々な食べ方があり、そのひとつとしてはベーコンや卵、マッシュルームなどをのせてサンドイッチにするのが代表的な食べ方としてあげられます。
尚、イギリスパンの起源は大航海時代にコロンブスが持ち運びやすく多くの人にも分けやすいパンとして、開拓者の為に作られたパンという説が有力です。
また、全粒粉を使って作ったイギリスパンはイギリスでは「ブラウンブレッド」と呼ばれます。
イングリッシュマフィン
イングリッシュマフィンは19世紀のヴィクトリア朝時代のイギリスにおいて、貴族などに仕えていた使用人達がビスケットやパンなどを作る際にでる残り物の生地とマッシュポテトを混ぜて作ったパンが元になっているといわれており、その後、アメリカに移住したパン職人がイギリスで食べていたイングリッシュマフィンを改良して販売した所、大ヒットしたものが現在のイングリッシュマフィンだと言われています。
イングリッシュマフィンは側面の中央部から水平に真っ直ぐに二つに割ってからそこにバターを塗ったり、具材を挟むなどして食べるのが一般的な食べ方で、元々、あまり味のないイングリッシュマフィンを美味しく食べる為にこのような食べ方が生まれたと考えられています。
食べた時の食感としては内側はもっちりとしており、かなり食べごたえがあります。また、イングリッシュマフィンを作る際の工程は基本的には型に入れて焼きあげますが、この時にあまり火を入れすぎないようにして、食べる直前に再び外側をトーストして焼き目を入れ、香ばしい香りを楽しみながら食べるというのが本場イギリスでも行われている食べ方です。
表面に見られるツブツブはコーンミールで、香ばしさを出す為にまぶされています。
尚、単にマフィンと言った場合はアメリカ発祥のマフィンを指し、こちらはイングリッシュマフィンと呼ばれるのが普通でマフィンと略される事はあまりないようです。
スコーン
スコットランドが発祥の地と言われているスコーンはイギリスを代表するパンの種類で、今は世界中の様々な国で食べられています。日本もスコーンを食べている国のひとつで、現在では日本で食べられているパンの種類の中でもかなりメジャーな存在となっています。
スコーンの特徴は生地がしっとりとしていますが粘り気がなく、外側に程よい硬さがある為、食べた時にザックリとした良い歯ごたえがあります。本場のイギリスでは生地自体にはあまり味は付けず、焼きあがったものにジャムやクリームを塗って食べる事が多いようです。また、イギリス人と言えば紅茶ですが、スコーンは午後のティータイムに紅茶と一緒に食べる食べ物の定番のひとつとしても知られ、スコーン、クロテッドクリーム、ジャム、紅茶のセットを「クリームティー」と呼んでいます。
見た目の特徴としては上部が持ち上がり、側面が割れているものが一般的で、このような形に膨らんでいるものが美味しいとされています。
尚、スコーンはフライパンなどで平たく成形した酵母などを加えずに作ったパンを焼き、その後に切り分けて食べていたビスケットのような食べ物が原型だと言われています。
現在のものはベーキングパウダーを加えて焼きあげますが、元々はベーキングパウダーなども加えずに焼いていたそうです。
バースバン
バースバンの起源は18世紀のイギリスの保養地であったとされ、朝食として食べる砂糖とバターを練り込んだリッチ系の人気の菓子パンとして広まっていきました。
バースバンの大きな特徴はザラメを使った事によって口の中で砕けるような歯ごたえを感じられ、一見、ザラメは上部にまぶされているだけのようですが実際には生地にもザラメが入っており、底部にもザラメが付着しています。
また、レーズン(カラントを用いる場合もあり)を練り込む事によって更にリッチな味わいとなっています。
バースバンはイングランドの西部にあるシティ・オブ・バースで誕生した事からこの名がつきましたが、同じイギリス発祥のパンとして知られているサリーランもバースで誕生したとされています。
尚、オリジナルのバースバンは現在、一般的に販売されているものとは異なり、ブリオッシュ生地を用いて砂糖で何層かをコーティングしたのち、キャラウェイシードをまぶしていました。
サリー・ラン
サリー・ランは1680年代の自国における迫害から逃れる為にフランスからイギリスのバースに移り住んだフランス人女性である「サリー・ラン」が考案したとされるパンで、パンの名前も考案者である彼女の名前がそのまま使われています。
イギリスで生活を始めたサリー・ランはバースでパン屋の職に就き、そこで故郷で食べられていたブリオッシュ生地の丸くてやわらかいパンを焼いた所、イギリス中で評判となり、「サリー・ラン」の名と共に国中に広まっていきました。
その後、多くのパン屋でもサリー・ランが焼かれるようになりましたがオリジナルのサリー・ランのようなパンは作れなかったと言われています。
サリー・ランは5インチ(約13cm)の型を用いて焼き上げられ、ふんわりとしたケーキのような食感と優しいほのかな甘さが特徴的です。また、イギリスと言えば紅茶を連想される方も多いと思いますが、紅茶と相性が良く、発祥の地であるイギリスにおいては茶菓子としても人気があります。
ホット・クロス・バン
ホット・クロス・バンはイギリス発祥のリッチなパンで、元々は復活祭(キリスト教において最も重要な祭)の時期に食べられていた美味しいパンです。現在では一年中、売っているお店も多くなっていますが、今でも伝統は残っており、復活祭の時期になると無性に食べたくなるという人が多いそうです。
ホット・クロス・バンは表面の白い十字の模様が大きな特徴で、中身はレーズンとスパイスを練り込んだ独特の味わいを持つ生地です。スパイスがきいていますが焼き上がりはクラムがしっとりとしていて食べやすい印象です。
また、表面には砂糖と水を同じ量だけ混ぜた艶だし用のシロップを作って、焼き上がったパンに塗ると見た目にも美味しそうな綺麗な艶がでます。
生地に使用するスパイスはナツメグ、シナモン、グローブなどを用い、十字の部分の模様は薄力粉、バター、水を混ぜたもので作りますが、アイシングなど、別の方法で作る場合もあります。
尚、ホット・クロス・バンには半分ずつ食べると、その年の友情が約束されるという言い伝えがあるそうです。
いかがでしたでしょうか?日本ではあまり馴染みのないパンもありましたが、やはり紅茶のお供といったところがイギリスらしいのではないでしょうか?

大手飲料メーカーで新規開拓を中心に7年間営業職として勤務した後、29歳でパンの道へ
約4年間修業した後に
平成21年、地元見附市で「しあわせパン工房パン・ド・ネイヴル」を開業
地域密着を念頭に置き、地産池消を心掛け「みんながハッピー」になれるお店づくりを目指します!
平成26年5月には長岡市喜多町にベーカリー&イタリアンレストランDOLCE VITAをOPEN!!
平成28年4月、長岡市殿町にワインバル DOLCE VITAをOPEN!
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