世界のパンは無限大!?一体どんな種類のパンがあるのかな?~ドイツ編~

シェアする

ドイツパン

ドイツは世界屈指のパン大国である事で知られ、その国民一人当たりの消費量は年間で80kgに達すると言われています。
また、ドイツではパンを沢山食べるだけでなく、パンの種類も豊富で大型のパンでも300種類以上、菓子パンや小型のパンを含めると1500種以上のパンがドイツ国内だけで存在しているそうです。
いくつか有名なパンを紹介してみましょう!

アインバック

アインバックとはドイツ語で「ひとつにまとめて焼く」という意味で、名前の通り、複数のスティック状のパンを連結させてまとめて焼く事によって作ります。アインバックの発祥の地であるドイツでは大人数でのランチやパーティーの際に上記の写真のような全部がつながった状態で用意しておき、皆でそれぞれ1本ずつもぎとって食べるという食べ方が一般的です。

アインバックは砂糖、バター、卵などを多く使用したリッチ系のパンで、表面にケシの実をふって香りづけを行う場合もあります。
また、焼く際にも少し工夫が必要でスティック状に成形した生地をくっつけて天板に並べるのではなく、少し距離を離して並べる事によって連結部分も綺麗に焼き上がります。

アインバックは特に決まった大きさはないようで、場所や作成者によって大きさは様々です。食感はふんわりとやわらかく、甘みがあって小さいお子様でも食べやすくなっています。
見た目のインパクトもありますので、大勢で集まるような機会があれば、アインバックがあるだけで盛り上がりやすい雰囲気を作れると思われますので、特にそういったケースではおすすめのパンです。

クノーテン

クノーテンとはドイツ語で「結び目」という意味で、クノーテンには特に何も入れないプレーンタイプの他、シナモンを入れたシナモンクノーテンやレーズンを入れたものなど、様々な種類のものが販売されています。

クノーテンは見た目がユニークで可愛らしい事から幅広い層から支持されており、味や風味も優しく、甘さも控えめで上品な味わいなので飽きがこないという特徴があります。
また、クノーテンにシナモンを入れて砂糖をまぶしたシナモンクノーテンは特に人気が高く、シナモンの豊かで心地よい香りと、クノーテンの上品な甘さが合わさって病みつきになる味わい深いパンとなっています。

尚、クノーテンは一般的に焼きたてパンが好まれるドイツのパンではありますが、クノーテンに関しては焼きたてよりも数時間待って味をなじませた方が美味しいと言われています。
また、ドイツだけでなくスイスにおいてもポピュラーなパンのひとつであり、人気があります。最近では日本のパン屋さんでも見かける事が多くなってきています。

シュヴァルツヴァルトブロート

シュヴァルツヴァルトブロートはドイツ南部にあるシュヴァルツヴァルト地方が発祥の地とされる伝統的なパンで、丸形のものや楕円形のものがありますが、日本では楕円形がシュヴァルツヴァルトブロートが一般的な形となっているようです。
シュヴァルツヴァルトとは地名以外にも「黒い森」という意味もあり、この名があらわす通り、表面が黒くなっている事が特徴のひとつでこの黒色は糖蜜をぬって焼き上げる事によって生まれています。
また、見た目通りのずっしりとした重みがあり、歯ごたえも十分でまるでライ麦パンのような特徴をもっていますが、基本的には小麦粉を主体としている為「ヴァイツェンミッシュブロート」に分類されます。
生地は小麦粉をメインにライ麦粉を混ぜて作られ、その中にラムレーズンやイチジクなどを加える事もあります。

シュヴァルツヴァルトブロートの食べ方は厚めにスライスして食事の際に添えたり、クリームチーズをぬったり、フェタチーズなどの塩気のあるチーズをのせて食べても美味しいパンです。
また、フルーツの入ったものワインなどとも相性が良いとされています。

シュトロイゼルクーヘン

シュトロイゼルクーヘンはドイツ発祥のパンで、「シュトロイゼル」はそぼろを意味し、「クーヘン」とはお菓子またはケーキという意味です。ドイツのパン屋さんでは天板で大きく焼いたパンを切り分けて食べるシュトロイゼルクーヘンのようなタイプのパンが多く見られます。

シュトロイゼルクーヘンの上にふりかかっているシュトロイゼル(そぼろ)はバター、砂糖、小麦粉を混ぜて作るもので、やみつきになるサクサク、ポロポロとしたシュトロイゼルの食感と甘い生地とが混ざり合って非常に美味しいとされ、人気があります。
また、シュトロイゼルクーヘンの生地はドイツで「ヘーフェファイン生地」と呼ばれているもので、この生地を天板に大きく広げ、カスタードクリームを塗った表面に前述したシュトロイゼルを振りかけて、焼き上げる事で完成します。

尚、生地の材料は同じドイツ発祥のパンであるロジーネンブロートヒェンと同じで、シュトロイゼルクーヘンのように天板に大きく広げて焼くパンは、特に北部ドイツで多く見られます。

シュトーレン

シュトーレンはパン王国ドイツを代表する伝統的なパンのひとつで、その姿は赤子であるイエス・キリストを毛布に包んだ姿をあらわしているとも言われ、クリスマスの前の「アヴェンド」と呼ばれる節食期間に写真のように薄切りにして少しずつ食べるという食べ方が一般的です。また、最近では日本においてもクリスマスの時期によく見られるようになってきており、ストレートの紅茶に合うパンとしても知られています。

本場ドイツにおける現在のシュトーレンは粉に対してバターを30%以上、ラム酒とハチミツに漬けたドライフルーツを60%含んでいる必要があると規定されており、元々、素朴な味わいだったシュトーレンは随分、様相が変わり、リッチなパンへと変貌しています。
また、仕上げに表面にバターを塗り、砂糖でコーティングする事によって、酸素との接触を抑えられる為、通常のパンと比べて長期間の保存が可能となっています。

尚、シュトーレンはドイツのドレスデンが発祥の地とされ、この地で作られたシュトーレンのみが「ドレスナー・シューレン」と呼ばれ、ドレスデンでは12月になると巨大なシュトーレンを乗せた馬車が街の中心部をまわりパレードが行われます。

ブレッツェル

ブレッツェルはドイツが発祥の地とされ、日本ではそれほど馴染みはないかもしれませんが、ドイツ国内においてはパン屋のシンボルマークになっている程、ポピュラーなパンです。

ブレッツェルはドイツ全土で作られていますが、その食感や種類は各都市で異なっており、カリっとした食感が強いものやモチモチ感が強いもの、甘さが強いものや塩みが強いものなど実に様々です。
ブレッツェルの表面には独特の光沢が見られますが、これはラオゲン液でコーティングしている為であり、この処理を施す事によって、見た目以外にも時間をおいても乾燥しにくいなどの特徴があらわれます。

ブレッツェルの中でも最も有名なのが「ラオゲン・ブレッツェル」でビールと非常に相性の良い、モチモチとしていて歯ごたえの良いパンとして愛されています。
また、丸形のものは水平にカットしてサンドイッチにして食べる事も多い。

尚、ブレッツェルはラテン語で「腕」を意味しますが、この独特の形状は「愛」を意味しているという説もあります。

プンパニッケル

プンパニッケルはドイツ発祥の黒パンで、同じドイツ生まれの全粒粉で作る「ロッゲンシュロートブロート」のひとつとされています。発祥の地はドイツ北部のウエストファーレン地方ですが、現在はドイツ全土で食べられており、日本でも広く知られるようになった伝統的なライ麦パンです。

ブンパニッケルは焼き上げるのにとても時間がかかる事で知られ、型に入れてから短くても4時間、長い場合は20時間もの間、お湯を張ったオーブンで蒸し焼きにする必要があります。
オーブンでカリッとした食感に仕上げるフランスパンとは対照的で、このドイツのプンパニッケルは水分が多く含まれ、もちっとした食感に仕上がります。また、カラメルを使用している為、甘さもあり、ライ麦粉の酸味も僅かに感じる事ができます。

食べ方としてはスライスして、サワークリームを塗るのが一般的で、その他にもクリームチーズをのせたり、ハムやスモークサーモンをのせて食べる事もあります。
また、食事パンである事からシチューなどの煮込み料理に添えて一緒に食べても美味しく食べる事ができます。

尚、プンパニッケルは焼いてすぐではなく、翌日以降の方が食べ頃とされています。

お次は私の最も好きなドイツパンの紹介です!!

ミッシュブロート

ミッシュブロートはドイツで生まれた肉にも魚にも合うオールマイティーな食事パンで、ドイツ国内においては非常にポピュラーなパンのひとつです。
ミッシュブロートとは小麦粉とライ麦粉を同じ分量使用したパンの総称で、ライ麦粉の比率が高いものは「ロッゲン・ミッシュブロート」、小麦粉の比率が高いものは「ヴァイツェン・ミッシュブロート」とそれぞれ名前で呼び分けられています。

ミッシュブロートは典型的なライ麦粉を使ったドイツパンで、ライ麦パン特有の酸味が感じられますが小麦粉を混ぜている事によって中和されており、内部のクラムはしっとりとしていて食べやすいという特徴を持っています。
基本的な食べ方はスライスしてトーストし、バターをぬって食事と一緒に食べたり、チーズやハム、ジャガイモやソーセージなどの具材を挟んでサンドイッチにして食べます。
また、ドイツではミッシュブロートの深いコクと香りがビールやワインなどと合うとされ、これらの飲物を飲みながら食べられる事も多いようです。

尚、ミッシュブロートは写真のような楕円形のものの他、円形をしたものなどもあり、クープに関しても写真のように真横にカットされたもの以外にも斜めにカットされたものが多く見られます。

モーンシュネッケン

モーンシュネッケンはドイツ発祥のパンで「シュネッケン」とはドイツ語でカタツムリを意味し、その名前から想像できる通り、モーンシュネッケンはカタツムリのように渦を巻いた形をしています。また、「モーン」の部分はドイツ語でケシの実を指します。

モーンシュネッケンには上から見て側面に渦巻きが出来ているものと上部に渦巻きが出来ているものの二種類があり、渦巻きの中にはモーンペーストというフィリングを巻き込みます。
このモーンペーストは黒ケシの実や砂糖を入れて牛乳で甘く煮たもので、日本で言うあんこのようにドイツやオーストリアでは様々なお菓子に使われている、とてもポピュラーなものです。
また、生地はバターを折り込んで作られるデニッシュ生地で、サクサクとした食感や弾力性のある歯ごたえもモーンシュネッケンの美味しさの要因のひとつとなっています。

モーンシュネッケンのフィリングに入っている黒ケシの実は日本ではあまり馴染みのないものですが風味とコクがあり、香ばしい事で知られています。

ドイツ人は単にパンが好きというだけではなく、その食べ方にも拘りがあるようで、焼きたてのパンを好む事から朝食べるパンは朝買うという事が習慣化されています。

ドイツパンの主な特徴としては黒くてずっしりとした印象のあるライ麦の入ったパンが代表的ですが、これは主に北部の地方で食べられているパンで、南部では主に小麦粉を使用したものが多く食べられています。

ドイツのライ麦パンはサワー種が入っている事による酸味の強さが特徴のひとつですが、これには元々理由があり、一般的に膨らみづらいとされているライ麦のパンを膨らませる為にサワー種が使用されるようになり、それから結果的にライ麦パンの独特の酸味が偶然、生まれたと言われています。
また、ドイツでは小麦粉とライ麦の配合の割合の違いによっても名前がついており、小麦粉の割合の多いものから順に「ヴァイツェンブロート」「ヴァイツェンミッシュブロート」「ミッシュブロート」「ロッゲンミッシュブロート」「ロッゲンブロート」の5種類に分けられます。更に粉の挽き方によっても呼び方が変わる事から、ドイツ人のパンに対する強いこだわりは、このような細かい部分からも感じ取る事ができると言えるでしょう。

いかがでしたか?

ドイツパン専門店は日本には中々ありませんが、見かけたら食べてみてくださいね。

スポンサーリンク