部下教育に悩んでいませんか?答えは、「ほめてはいけない、叱ってはいけない、教えてはいけない」にあった!

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「ほめてはいけない、叱ってはいけない、教えてはいけない」

これを聞いたあなたはどう感じたでしょうか?従来の考え方は褒める、叱る、教えるだったはず。特にゆとり世代は褒めたほうがいいんじゃないの?なんて思ったかもしれませんが、実は心理学上では、そうではありません。

ほめてはいけない

<ほめる>ほめる行為とはあくまでも上位者から下位者へ対して行うことで「私が上、あなたが下」というメッセージが含まれてしまいます。上司と部下の間柄であるにせよ、上下関係はあくまでも役割上の関係です。決して人間としての上下ではありません。「お前が下」とみられた側からすると劣等感を感じるようにもなってしまいます。

例えばメジャーリーグで大活躍している世界トップレベルのイチローを例にとってみましょう。

ヒットを打ったイチローに対してあなたは

①「さすが!ナイスヒット!!」と喜ぶ

②「良く打った。偉いぞ!」とほめる

さて、もうお分かりかと思いますが、あなたは①の反応をするはずです。②のほめ方は明らかに上から目線です。

ほめるということは上下関係だけでなく「どうせできないだろう」と相手にあまり期待していない状態であったという意味を含むのです。つまり、ほめられるということは「お前は私の下である」と上下関係を刷り込まれ、なおかつ「どうせできないでしょ?」と期待されていなかったことを悟られてしまうことになるのです。

さらに人が人をコントロールしようとすると信頼関係が崩れます。そして信頼関係が壊れた後に部下を育てようとしても、うまくいくはずはありません。リーダーシップとは「集団を一定の方向へ導く影響力」の事です。そしてリーダーシップの源泉には信頼関係があります。上司を信頼している部下は上司の影響力を受け入れ言うことを聞きます。つまり上司は部下から信頼されていないとリーダーシップを発揮することが出来ないのです。ほめたり、叱ったり態度を変える上司は、部下からの信頼を失います。成果が上がればほめる。上がらなければ無視したり叱る。こう言ったコントロールは即刻やめた方が良いです。

ですから「相手をほめることをやめましょう」

上司は部下を常に勇気づけなければならないのです。

「ほめる」と「勇気づける」の違い

ほめるの定義は「相手の優れている点を評価し称賛する事」に対し

勇気づけるの定義は「相手が困難を克服する活力を与えること」です。

「ほめる」が上下関係に基づいているのに対し「勇気づける」は対等な横から目線関係であることです。

例えば

●部下が企画した商品がヒットした時

【ほめる】よくやった。偉いぞ!

【勇気づける】諦めずに最後までこだわっていたね。私もうれしいよ。

といった具合です。

つまり相手が自分の力で課題解決できるように支援するのです。「ほめる」から「勇気づける」に移行してみましょう!

叱ってはいけない

<叱る>上司は叱ることで「勇気くじき」につながる指導をしてしまいがちです。例えば困難から逃げ出してしまう部下に対し「言い訳しないでやってみろ!」とか「こんなことくらい出来るだろう。俺だって若い頃は。。。」と叱ってしまいます。そもそも部下への指導は「勇気くじき」につながります。指導とは現状否定であり、駄目出しをすることに他ならないからです。そもそも困難から逃げ出してしまうのは勇気が不足しているからです。そんなときは駄目出しではなく、良い点を見つけて認め、感謝やポジティブな感想を伝えて勇気づけるべきです。

では、「叱らない=甘やかす」にはならないのでしょうか?叱らず、駄目出ししない、そう学んだ上司が陥りがちなのが部下を甘やかしてしまうことです。

例えば

「ずいぶん忙しそうだけれど大丈夫?私が代わりにやってあげるよ」とか「あー、そこはね、こうやった方がうまくいくよ。私にちょっとやらせて」さらに「この仕事はね、ここに気を付けて。それから次にここをやる最後にはこうして。。。」

ここで相手に伝わるメッセージは「あなたはまだ子供。一人でやり遂げる能力がない。だから私が代わりにやってあげる。」この甘やかしは、相手の機会を奪い、自信を失うだけでなく、勘違いを助長してしまうのです。受け取る側は「周囲の人は私を助けなければならない。私は助けてもらう権利がある。」となってしまいます。

このように多くの上司は部下を叱ったり、逆に甘やかすことで勇気くじきをしてしまっているのです。これとは違った方法で勇気づけをすることが上司には求められるでしょう。

「そんなこと言われても理屈ではわかるけど実際どうすればいいの?」

「部下が間違ったやり方をしている時に指導もせずに放っておけというのですか?」

「そんなことしたら、お客様や他の人に迷惑が掛かってしまう!」

そんな声が聞こえてきそうですが、答えはあります。

おっしゃる通り、間違いを放置してはいけません。叱らずに勇気づけながら部下を指導する方法はあるのです。

その方法とは「主観伝達」「質問」にあります。

例えばこんな感じです。

「○○さん、この仕事を進める際にはこんな所に気を付けると良いかも知れませんね。そうすると、どのようなやり方が考えられますか?」と伝えればよいのです。

先程の勇気くじきでは「ダメダメ!」「~の問題が起きてしまう!」といった「決めつけ」であり、「私が正しい。あなたは間違っている。」「私はわかっている。あなたはわかっていない。」というメッセージに対し、勇気づけの方は「こんな所に気を付けると良いかも知れませんね」と言った主観伝達と「どのようなやり方が考えられますか?」と質問することで部下の自分の頭で考えることを促すのです。先ほどの「決めつけ」は選択の余地がないのに対し主観伝達は選択の余地を与えます。これが相手への敬意につながり相手を勇気づけるのです。さらに質問は相手に考えさせ思考のトレーニングを積ませるだけでなく相手に選択をゆだねます。結果、部下は自分の意志で行動できるようになり主体的な意思決定と主導権を握ることが出来るのです。

教えてはいけない

<教える>部下教育においてよくある悩みは「部下が指示待ちでこまる」といった内容が一番多いのではないでしょうか?この原因は実は上司にあったりします。上司がしゃべりすぎる、上司が指示・命令しすぎているといったことが原因で部下が口出ししたくても、出来ないといったことが多いのです。自分の頭で考え、自分の意志で行動する社員を育成したいと思うなら、部下にあれこれと教えてはいけません。指示・命令を通じて問題の答えを言ってはいけません。教えずに空白を作り出し、部下たちの手でその空白を埋めさせるのが人材育成の本質です。

「空白」「支援応需」

では「教えない=放置」にはならないのでしょうか?

もちろんそうではありません。教えない、けれども、サポートをしっかりやることをしなければなりません。

「教えない」人材教育は具体的にはゴールの共有から始まります。「何を」成し遂げるのかというゴール設定・目標設定を上司と部下で行います。その際に上司がゴールを押し付けないことが大切で、出来れば部下が主体的に設定する。上司は、それに承認を与える形が理想です。次に、そのゴールを達成するための手段、すなわち戦略・戦術を設定します。部下が「どのように」成し遂げるのかを自分で考えさせるのです。

つまり「教えない」人材育成の基本は「何を」を一緒に設定し、「どのように」は部下に委ねるというものです。この「空白」を作り出し、部下が空白を埋めるために自発的に行動を起こします。しかし、全てを部下に委ねるのは少し危険を判断したら、先に述べた「質問」や「誘い水」を使って部下が考えるためのサポートをすればよいでしょう。

もう一つは「支援応需」です。応需とは需要に応えることです。すなわち部下から「教えてください」「手伝ってください」と要請があった時に初めて上司がそれに「応える」のです。決してこちらから「教えてあげようか」と声をかけるのではない支援スタイルです。

では部下から支援要請がない場合はどうするか?上司としては心配に思うかもしれません。こんな時は上司と部下が1対1で向き合いながら話をする「定期面談」をおすすめします。毎週月曜日の9時から9時15分までと時間を決めて行います。本来なら部下から自然と支援要請があればよいのですが、それがないのであれば現実的に対応し定期面談が誘い水となり「出ては引く」の「出る」になればよいのです。

あと多いのが部下から「どうすればいいですか?」と答えを求められるケースです。これに対して正解を教えてしまっては支援応需になりません。あくまでも支援応需は部下自身の頭で考え意思決定をしてもらうのが狙いです。では、どうすればよいのか?

それは「あなたはどうしたいですか?」とオウム返しする事です。何より先に部下の意思を問うのです。答えを先に言ってしまう誘惑に耐え、部下育成を優先してオウム返しの質問をしてみましょう。これが「教えない」部下育成の基本となるスキルの一つとなるのです。

最後に

いかがでしたか?この考え方はアドラー心理学に基づく考え方で、小倉広さんの著書から学んだものです。同じ悩みを抱える方も多いかと思いますが、少しは参考になると嬉しいです。私も同じ悩みを抱え日々、この考え方に立ち返っています。是非、ほめない、叱らない、教えないを試してみてくださいね。

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