世界のパンは無限大!?一体どんな種類のパンがあるのかな?~フランス編~

シェアする

フランスパン色々
フランスはドイツと同じように焼きたてのパンに拘りのある国で、フランスのパン屋さんは朝食に間に合うように朝6時頃にはオープンするそうです。また、多くの人は一日の3回の食事の殆どでパンを食べ、そういった消費が多いという点もドイツと似ていると言えます。

フランスのパンは日本でも広く知られている「バゲット」や「バタール」などに代表される小麦粉の風味とクラストのバリバリとした食感を楽しむもの、小麦粉、パン酵母、塩、そして水のみを使った伝統的でシンプルなパンである「パン・トラディショネル」、そしてこちらも日本でも大変、知名度の高い「クロワッサン」や、バターを練りこんで作る「ブリオッシュ」などのパンで、これらのパンは「ヴィエノワズリー(ウィーン風の菓子パン)」と呼ばれています。
また、その他にもフランスにはライ麦を混ぜたパンもあります。こちらは「パン・ド・カンパーニュ」と呼ばれ、日本ではあまり有名ではありませんが、長時間の発酵させる事により生まれる酸味や香り、食感などが特徴的で、日持ちがする事も特徴のひとつです。尚、パン・ド・カンパーニュは発酵に野生の酵母を使う事でも知られています。

バゲット

バゲットはフランス人の命のパンとも言われているフランスを代表するパンで、フランスパンに多いカリッとした食感のパンの中でもフランスの家庭で最も食べられているのが、このバゲットです。バゲットとはフランス語で「杖」又は「棒」を意味し、杖という名前の意味から想像できる通り、バゲットは細長い形状のパンで60~80cm位の長さがあり、フランスパンの中でも特に長い事が大きな特徴となっています。

バゲットはほのかな塩味とふんわりと広がる小麦粉の香り、表面で薄い褐色になっている焦げ目の部分のバリバリとした食感が魅力的なパンで、そのシンプルな味わいから様々な料理に合うと言われ重宝されています。
また、作り方や味もシンプルなバゲットですが、その日の気温や湿度などの影響を受けやすく、内部の気泡の入り方などで美味しさに大きな違いが生まれる事から作った職人の腕が出やすいとされています。

バゲットは大きいので、持ち運びが難しい事もありますが、本場フランスでは中心部分を薄い紙で巻いて、殆どむき出しのまま持って帰るというスタイルが一般的です。

私もフランスに行ったことがありますが、まさに紙に巻いたバゲットを持って歩いているフランス人を見て「かっこいいなぁ」って思いました。

バタール

バタールはフランス語で「中間」という意味で「バゲット」と「ドゥ・リーブル」の中間の太さである事から、バタールと名付けられたと言われています。また、日本でも最も好まれているフランスパンのひとつです。

バタールの特徴は大きな3本のクープと、やや太さがある事からパンの中身のクラムがふっくらとしていて断面も丸みがある事です。その他のバゲット系のパンと同じく、材料の配合はバゲットと同じですが、成形とクープの違いで細かい違いがあらわれるとされています。長さは大体、40cm位でバゲット系としては長さが短いパンです。

バタールは厚めにスライスして食事の際に食べるのが一般的で、バゲットよりも断面が大きいのでサンドイッチにしたりディップをのせたりするのに向いています。

バタールは大きさ的に少人数でも使い切りやすく、日本で人気があるのはそのような点も関係しているのかもしれません。
また、使い切れずに硬くなってしまったバタールはフレンチトーストにすると美味しく食べられます。

パリジャン

パリジャンはいわゆるバゲットタイプの棒状のフランスパンで、長さは50~70cm程度、バゲットと比べるとやや太いという特徴を持っています。この太いという特徴を活かして厚めにカットしてサンドイッチに使用したり、ディップを上にのせて食べたりと食事パンとして大変、扱いやすく人気のあるパンのひとつです。

パリジャンはフランスの首都パリが発祥の地とされるパンで、正式には「パン・パリジャン」という名前で呼ばれます。パンの特徴としては基本的には4、5本のクープ(切込み)が入っており、この大きめのクープと、パン自体が太目になっている事によってクラムの部分が多い事が合わさって、通常のバゲットよりも軟らかい食感を生み出しています。

尚、パリジャンはバゲットよりもやや短くて太さがある為、見た目的にも美しく、籠などからはみ出した状態で突き刺して運ぶ事がカッコいいというイメージがあるようです。
しかし、最近ではバゲットのような細めのタイプのフランスパンの方が人気が出てきています。

上記3種は主に原料は同じですが長さ、食感の違いによる呼び名が違うんですね。

エピ

エピはフランス語で「麦の穂」という意味で、その名の通り麦の穂のような形をしているパンです。この形は細長く作った生地を成形する際にハサミでギリギリまで切れ込みを入れて、それを左右に交互に開く事で作ります。

エピの生地はフランスのパンとして最も知られているバゲットと基本的には同じ材料で作られ、発酵方法などもほぼ同じです。本場フランスではバゲットと同じように何も入れないプレーンなものが最もポピュラーで、左右にずらしている事によって火の入りが良くカリっとした食感に仕上がります。
また、エピはかなり長さのある長いサイズのものから短いサイズのものまでありますが、実はこの小麦のような形は食べる際にも非常に都合がよく、ナイフなどを使って切らなくても細くなっている節の部分を手でちぎって食べる事ができるので外出先などで食べる際ににも便利です。

尚、日本で販売されているエピはフランスのものとは違い、ベーコンやチーズなどが入っているものが人気があるので、そちらのタイプのものが多いようです。

クロワッサン

クロワッサンはサクサクとした食感と生地を巻き込む事によって作られた中央が盛り上がった菱形の形状が特徴的なパンでクロワッサンとはフランス語で「三日月」を意味します。この名前は元々、バターで作ったものを菱形、バター以外の油脂で作られていたものは三日月型に成形され区別されていた事から名づけられたそうです。尚、現在では本場フランスにおいても全てのクロワッサンが三日月形ではなく写真のような菱形に成形されています。

クロワッサンは大きなバターを溶かさないようにしながら生地に何度も折り込んでいく事によって生地の層とバターの層を作り、それを焼き上げるとバターが蒸発して生地が持ち上がります。生地のこのような変化によって、内部に美しい層が何層も出来上がり、あの独特のサクサクとした美味しい食感が生み出されています。

以前は熟練した職人でしか作る事が難しかったクロワッサンですが、現在ではバターを折り込むという作業を実践できる機械が発明された事から、大量生産が可能となり、比較的、高級であったクロワッサンは手軽に食べる事ができるようになりました。

クロワッサンの発祥については1683年にウィーンで焼かれていた三日月型のパンがフランスのクロワッサンと似ている事からオーストリアだとする説もありますが、現在のような独特の食感を持つクロワッサンはフランスが発祥であるとされている為、クロワッサンの発祥の地はフランスというのが一般的になっています。

パン・オ・ショコラ

パンオショコラはクロワッサンのパイ生地にチョコレートを包んだフランス発祥の人気のパンで、焼きたてのパンのバターの香りとチョコレートの香りが合わさって食欲を誘う魅力的な香りが楽しめる人気のパンです。
本場フランスにおいてパンオショコラは朝食の定番メニューのひとつとなっており、基本的には焼きたてが美味しいので朝焼かれたパンオショコラを朝食べるというのが理想的とされています。

パンオショコラはチョコレートがメインのパンではありませんが、チョコレートの割合や種類が味に大きく影響する為、店によってこれらの要素が異なり、自分好みの味のお店を探す必要があると言われています。
このような理由から、例え一度食べて口に合わないと感じても他のお店のものを食べたら印象が変わったなどという事があるのもパンオショコラの特徴のひとつとなっています。

形は角が丸くなっている長方形が一般的で、中身のチョコレートは通常、板チョコを使います。
パンオショコラは側面の生地の層が綺麗に出ていて、焼き色が美しいものが美味しいと言われています。

パン・ド・カンパーニュ

パンドカンパーニュはフランス発祥のパンで名前は「田舎のパン」という意味を持っており、このパンを都会であるパリに近隣の村の人が売りに来ていた事から、この名がついたと言われています。また、「パン・グランメール(おばあちゃんのパン)」と言う名前で呼ばれる事もあったようです。

このパンドカンパーニュはバゲットなどの通常のフランスパンとは異なり、果物などについている野生の酵母から作られたルヴァン種と呼ばれている発酵種で発酵させる事が大きな特徴で、これにより酸味が強くなり、香りや風味に影響が与えます。
しかし、現在作られているパンドカンパーニュはこのルヴァン種を使わない通常のパン酵母で作られたパンの方が主流になってきています。
パンドカンパーニュの食べ方としてはクラムが密になっているという特徴からスライスしてサンドイッチにすると美味しいと言われています。

形については上記の写真のように楕円形をしたものが多いのですが、丸形や棒状のパンドカンパーニュもあります。楕円形のパンドカンパーニュの長さは20~40cmとかなり大ぶりです。

パン・オ・ルヴァン

パン・オ・ルヴァンは野生の酵母であるルヴァン種を用いて作るパンで、パン酵母ができる前からあったとされる非常に歴史が古い伝統的なパンです。基本的にはイーストを用いない事から味わいが深く、ライ麦粉が入っている事によって淡い酸味を感じる事ができます。

パン・オ・ルヴァンに用いるルヴァン種は穀物や果物などから作られますが、特にリンゴとブドウが発酵力が高く安定しやすいので、一般的にはこの2種が使用されます。
しかし、ルヴァン種を作る際に用いられる素材によって香りや酸味に違いがでる為、個性を出したい場合にはリンゴやブドウではない種を用いる必要がありまう。その場合は元々難しい発酵管理が更に難しくなり、パン職人の愛情と拘りがなければ困難な作業となるでしょう。

パン・オ・ルヴァンの特徴は前述した酸味の他、パン酵母を持ちいたパンより、硬めの歯ごたえでしっかりとした味わいと食感を感じる事ができます。
この特徴から味が濃く、香りの強いチーズやソーセージや燻製などとも相性が良いとされています。

尚、パン・オ・ルヴァンには上記の写真のような丸形のもの以外にも中央に大きなクープの入ったラグビーボール型のものもあります。

パン・ド・ミ

パン・ド・ミの「ミ(mie)」とはフランス語でパンの内部であるクラムを指す言葉で、クラムの部分がやわらかい事が、このパンの大きな特徴となっている事から、この名がついたとされています。
一般的にフランスパンは硬さがあり、外側のクラストの部分がカリッとしている事が特徴のひとつですが、このパン・ド・ミは型で焼かれる事からクラストの部分はない判断されており、主にふんわりとしたクラムの部分を楽しむ為のパンです。

パン・ド・ミは20世紀にイギリスからもたらされたイギリスパン(ホワイトブレッド)が、その起源だとされています。見た目も食感もイギリスパンとよく似ており、日本の角食パンのように蓋をして四角形にする場合もあります。
焼きたてが美味しいとされるパンが多い中で、パン・ド・ミは焼き上がりから1~2時間ほどおいた方が美味しいとされています。

尚、パン・ド・ミもイギリスパンや食パンなどと同じく、薄くスライスしてから食べます。時間が経ったものはスライスした後にトーストするのが一般的です。
また、フランス発祥のクロック・ムッシュにする事もあります。

フーガス

フーガスは植物の葉っぱのような形に形成される砕けるような歯ごたえが特徴のフランス南部のプロヴァンス地方発祥の伝統的なパンで、その起源は古代ローマの時代にまで遡り、ローマ人が囲炉裏の灰で焼いたパンがルーツとなっていると言われています。

フーガスは平たく伸ばしてから葉の静脈のような穴が開けられ、オーソドックスなプレーンタイプの他、ハーブを入れたものやオリーブが入っているもの、クルミを混ぜ込んだものなど実に様々です。
また、パン全体の形についても日本では木の葉のような形のものが一般的ですが、海外では四角いものや変則的な形をしたものや変則的に穴が開けられているものも販売されています。

フーガスは表面に美しい焼き色をつける為に油を塗って、そのままオーブンで一気焼き上げられる事から通常の食事パンのようなふんわりとしたクラムではなく、どちらかと言えばもっちりとしています。
パンの表面は中身とは違ってサクサクしており、サイズは大きいのですがクランチーなかじって食べるステッィクタイプのパンのような食べ方をするのが一般的です。

ブリオッシュ・アテット

ブリオッシュアテットはフランスのノルマンディー地方が発祥の地とされるパンで、元々はお菓子の一種であり、お祝い事の際など特別な日に作られていた食べ物です。
卵とバターをたっぷりと使用した非常にリッチなパンですが甘さは控えめで味わいに関しても割とシンプルなものになっています。

ブリオッシュアテットの特徴的な形は、球形に成形した生地の中心部分をつまんで、ちぎれる寸前まで伸ばして中心に置く事で作られます。また、ブリオッシュアテットの「テット」とはフランス語で僧侶の頭という意味でこの特徴的な上部の突起が名前の由来だとされています。
テット以外にもパウンド型の「ナンテール」、円筒型の「ムスリーヌ」、王冠型の「クーロンヌ」などの種類があります。
また、生地の材料についてはシンプルな味わいのオーソドックスなものの他にクリームやチーズを入れたもの、ナッツやレーズンなどを入れたものなど、様々なバリエーションがあります。

尚、フランス国王ルイ16世の王妃として知られているマリー・アントワネットが貧困に苦しむ民衆に対して向けた言葉である「パンを食べられないならお菓子を食べればいいのに」のお菓子とは、このブリオッシュアテットの事ではないかと言われています。

代表的なパンを紹介しましたが、いかがでしたか?フランス=パンというイメージが強いだけに食べたくなってきましたね(笑)

皆様もお試しください!

スポンサーリンク
コメントの入力は終了しました。